プロのギタリストになるには?音楽業界へ乗り込んだレア体験

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プロのギタリストになるにはどうすればいいの?と考えたことがあるという人は、バンドの一員としてプロを志す、あるいはスタジオミュージシャンになるなど、様々な選択肢に思いを馳せたことがあるのではないでしょうか?プロになりたいと思ったら、誰もが通る道です。さて私はどうしたのか?

ここでは、私自身がプロになろうと決意してから単身で音楽業界に乗り込み、まだ駆け出しの頃に運良くプロの世界へ足を踏み入れることができた体験談や、思いもよらない失敗談などを紹介していきますね。ほんの少しでもプロの世界がどういうものか、垣間見えるかもしれません。 

プロのギタリストになる為の選択肢

高校生の時に、「プロのギタリストになるには何をすればいいんだろうか?」そんなことをよく考えながら学生生活を送っていました。プロになる方法って意外とわからないですよね?

本当はプロになる方法って結構あるんです。プロには決まった定義がないので、ここでは、プロ=「演奏してギャラ(お金)がもらえる人」と定義したとすると、プロになるには例えば、

  • オーディションに応募して採用される → レコーディングや楽曲提供をする
  • BARや飲食店で演奏する → 一日2~3ステージこなす(現場による)

他にも、

  • 音楽教室などの講師をする
  • 自分で有料のライブを行う
  • バンドデビューする

などの選択肢があります。しかし、すべてに共通しているのが「確かな腕があること」「ツテがあること」です。そのどちらもなかった私はプロの養成学校へ進学することを選びました。腕を磨くこととプロへのツテの両方が手に入るのではと考えたからです。

学校に行く方法でプロになろうと考える人は多いのではないでしょうか?当時、私にはどこがいい学校なのかなど全く分かりません。迷った挙句、ギターマガジンかプレイヤーという雑誌だったと思いますが、そこに載っていた学校全部に電話して願書を取り寄せ、東京にある学校に決めて上京することになります。

プロになる人とアマで終わる人の決定的な違い

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入学してからの初レッスンは忘れられません。自分は素人にしては結構上手いという確信を持って、意気揚々と学校へ向かいました。

スタジオに入ってプロの講師の方の自己紹介が終わり、演奏を披露し始めたまさにその瞬間、音量調整で一発コードを「ジャーン!」頭が吹っ飛んだかと思いました。音が綺麗で音圧が強く、ギターから何かの波動が出てるようでした。そのまますぐに演奏が始まり、一音一音が格段に違うレベルのギター演奏でした。

格の違いを見せつけられました…。さらに衝撃だったのは、そのプロの講師の方は当時22歳。なんと22歳の若さでギター1本で生活をすべて賄っていたのです。私は当時19歳。たった3年の違いで埋められる差には到底思えませんでした。プロに年齢は関係ありません。

でもよくよく聞いてみると、そのプロの講師の方も、私と同じようなヘベレケ演奏の時代があったんだとか。しかも私とピッタリ同じ歳の頃に。そこで、毎日どのくらい練習していたのかを聞いてみました。講師曰く、「覚えていないけど…、寝る、食べる、風呂に入る、トイレに行く以外は練習かレッスンだったなぁ」とのこと。そして、強いて言うなら「8時間は最低練習していた」とも。

「ジ…ジミヘン(※)だぁ」と思いましたね。その日から私の猛練習が始まりました。まず、プロに教わった練習法を実践しました。

(※)ジミヘン:アメリカの伝説の黒人ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスの通称。「Purple Haze」「 Star Spangled Banner(星条旗よ永遠なれ)」などが名曲として有名。ジミヘンも1日8時間以上は練習していたと言われている。

朝8時から基礎練習開始してスケールを全種類全ポジションをバリエーションつけて弾くのですが、これだけで午前中が終了します。午後からはグルーヴ(演奏にノリを出す)練習です。テンポを決めて3~4時間カッティングし続けます。

次はリズムの練習、譜面を読みながら弾く練習、曲を聴いて譜面に起こす練習と続きます。だいたいこのくらいやると夜中になっていました。さらに素人には決定的に足りない「タイム感」と呼ばれるテンポの感覚を養う練習で、メトロノームの音を24時間聴き続けるのです。

これは苦痛でした…。練習の時はもちろん、食事の時も風呂に入る時も、寝る時までもイヤホンで聴きながら眠ります。他には、バンドがある日はスタジオに入って練習したり、実際にプロのライブを見に行くなども耳を鍛える練習の一つでした。

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プロへの誘い~これだけは誰にも負けないという強みを持つ~

プロの講師の方の指導を受け、実直に練習すること1年が過ぎた頃です。突然私に声がかかります。「○○くん。君、面白いから仕事手伝ってくれない?」全く意味が分かりませんでした。

「面白いから…?」のちのち分かることなんですが、面白いからというのは「プロで生きていく為に必要な要素を持っているから」という意味だったそうです。その一つが、演奏に特徴的な部分があることでした。その特徴とは何か?「音色」でした。

つまり私の音作りを評価されていたのです。音作りはギター、アンプ、エフェクターなどの機材の音質調整をして、作りたいカッコいい音のイメージと合致する音を見つけていく作業と言ってもいいと思います。そのカッコいい音のイメージを持つには、自分の好きなギタリストの音色を完全コピーすることが一番です。

音色を完全コピーしようとしても、同じ条件下で音を作ることは不可能なのでまずできません。ただ、完全コピーしようとすると非常に注意深く音を聴く必要があるので、自ずと耳が鍛えられ、今まで聴くことができなかった音(鳴っていたけど捉えることができなかった音)がわかるようになります。

耳が鍛えられて良くなると、音色を決定づける重要な音がわかるようになり、自分の音作りが変わってきます。恐らく私が音色に関して他の人から抜きん出られたのは、音の完全コピーに挑戦していたからだと思います。

「プロの世界で音作りは非常にニーズがある」と教わり、同時に「プロで生きていくためには特徴(売り)が必要で、それが強みになり武器になる」と教わりました。

特徴は他にもリズム感、演奏スタイル、独創的なフレーズ、ビジュアルなど色々ありますので、プロを目指す皆さんは、他とは違う「自分の売り」、「セールスポイント」と呼べるものがあると、他の人の目に止まりやすくなるかもしれません。

ただそれは後から分かったことであって、当時は自分のどこが認められたのかも分からないまま、プロに誘われて気分も高揚し、少々浮かれ気味に仕事現場を初体験しました(当然ながら最初はアシスタントレベルの仕事でしたが)。

初めての体験で緊張していた私は、言われた仕事を黙々と続けていました。他にもパーカッションやベース、サックスのアシスタントが来ていました。現場に慣れているのか、他のミュージシャンからも可愛がられている様子で、アシスタントは優しくしてもらえるのかと思っていました。

ところが私が話しかけるととても冷たくほとんど喋ってもらえません。「一体なぜなんだ?」とその理由は分からず終いでしたが、その後いろいろな現場へ出入りしても、どこでも冷遇されました。

プロのギタリストになる為に絶対必要な、たった1つの意外なこと

原因はプロのミュージシャンにとって死活問題とも言えるほど大事な「コミュニケーション」、その中でも最低限かつ最も重要な「挨拶」でした。後に師匠に聞いて分かりましたが、音楽業界や芸能界全体でしっかり挨拶をするという慣習が根強くあるのです。

テレビでも良くありますが、本番前の楽屋へ共演者や先輩に挨拶に行くと言う話、おそらく聞いたことありますよね?あれと全く同じです。しかも一般社会より格段に重要視されています。私には衝撃でした。演奏技術や音楽的才能などの前に重要なことがあったんです。

良く観察してみると、どんなベテランミュージシャンでも挨拶しない人などいません。大御所でもスタッフへ挨拶します。これからプロのミュージシャンを目指す方は、アマチュアの時から「挨拶」は絶対に忘れないでください。どこに業界関係者がいて見ているか分かりません。

楽器が演奏できて、目立つバンドで活動していたりすると、突然プロの仕事現場に誘ってもらえたり、事務所から声がかかったりすることがあります。そこからプロの道が開けるなんてことはザラにあります。その時に、挨拶を始めとする基本的なコミュニケーションができないと致命的です。

プロへの道の鉄則は

  • 練習して練習して練習する
  • コミュニケーション能力を磨き続ける

と師匠から教わりました。いつ来るかわからない、一度しかないかもしれないチャンスを掴む為に、常日頃から準備を心がけるようにしてください。

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